税金対策で車を購入するのはなぜ?
車購入が税金対策といわれるのは、事業で使用する車が減価償却資産となり、取得費用の一部を複数年に分けて経費にできる場合があるためです。自動車税、保険料、車検費用、ガソリン代などについても、事業に必要な範囲で必要経費または損金として扱える可能性があります。
購入代金の全額がすぐに経費になるとは限らない
車両のように長期間使用する資産は、原則として購入した年に全額を経費にするのではなく、法定耐用年数などに基づいて減価償却します。中古車は新品と異なる耐用年数を使用できる場合がありますが、取得時期、使用開始日、車両の経過年数などによって計算が変わります。
自家用と事業用を兼ねる車は家事按分が必要
個人事業主が車を仕事と私生活の両方で使用している場合、経費にできるのは事業で使用した部分に限られます。走行距離、使用日数、運行記録など、合理的な基準で事業割合を計算しなければなりません。
領収書があっても、休日の家族旅行や日常の買い物など、私生活に使用した部分まで経費にすることはできません。
自動車税も全額が税金対策になるわけではない
事業用車両にかかる自動車税などは、事業に対応する部分を租税公課として処理できる場合があります。しかし、会社員が個人的に所有している自家用車の自動車税は、通常、所得税を計算する際の経費にはなりません。
税金より車の購入費のほうが大きい
仮に車の減価償却費を経費にできても、経費と同額の税金が減るわけではありません。経費によって所得が減り、その所得に対応する税負担が軽くなる仕組みです。
節税を目的に不要な車を購入すると、車両代、駐車場代、保険料、整備費、燃料費などで手元資金が減ります。事業上本当に必要か、購入後の資金繰りに問題がないかを先に確認しましょう。
生命保険は税金対策になる?
対象となる生命保険料を支払った場合は、生命保険料控除を利用できる可能性があります。2012年1月1日以後に締結した新契約では、一般生命保険料、介護医療保険料、個人年金保険料に区分して控除額を計算します。
通常の新契約では、所得税の控除額は各区分で最高4万円、合計最高12万円です。2026年分と2027年分については、23歳未満の扶養親族を有する場合、新生命保険料控除に特例が設けられています。適用条件や計算方法は、申告年の保険料控除申告書で確認する必要があります。
保険料がそのまま戻る制度ではない
生命保険料控除は、支払った保険料の全額が税金から差し引かれる制度ではありません。また、控除額には上限があります。節税額よりも保険料負担のほうが大きくなるため、保障の必要性を優先して契約を検討しましょう。
法人保険も全額損金になるとは限らない
法人が契約する定期保険や第三分野保険は、契約内容、保険期間、解約返戻率、受取人などにより税務上の処理が異なります。保険料の全額を支払時の損金にできず、一部を資産として計上するケースもあります。
「保険に入れば利益を繰り延べられる」といった説明だけで契約せず、解約時や保険金受取時の課税、資金拘束、解約返戻金の推移まで確認することが必要です。
ふるさと納税は税金対策になる?
ふるさと納税は、自治体への寄付を行い、要件を満たすことで所得税や翌年度の住民税から控除を受ける制度です。控除上限の範囲内であれば、寄付額のうち2,000円を超える部分について、一定の控除を受けられます。
ただし、税金が無条件で安くなる制度というより、納める税金の一部に関係する寄付先を選び、自己負担を伴って返礼品を受け取る仕組みと考えるとわかりやすいでしょう。
上限額は年収だけでは決まらない
控除上限は、給与収入だけでなく、家族構成、社会保険料、住宅ローン控除、医療費控除、iDeCoの掛金、副業所得などによって変わります。年収だけを入力した簡易表は目安として利用し、上限ぎりぎりまで寄付する場合は詳細な試算が必要です。
ワンストップ特例が使えなくなる場合がある
確定申告が不要な給与所得者などで、寄付先が5自治体以内などの要件を満たす場合は、ワンストップ特例を利用できます。ただし、医療費控除や住宅ローン控除などで確定申告を行うと、ワンストップ特例の申請は無効になります。その場合は、ふるさと納税分も含めて確定申告しなければなりません。
iDeCoによる税金対策
iDeCoの加入者掛金は、要件を満たす範囲で全額が小規模企業共済等掛金控除の対象になります。運用中の利益が非課税となり、受取時にも公的年金等控除や退職所得控除を利用できる場合があります。
一方、iDeCoは原則として60歳まで資金を引き出せません。運用商品によっては元本割れする可能性があり、口座管理手数料もかかります。節税だけでなく、老後資金として長期間積み立てられる金額を設定することが重要です。
不動産投資・マンション購入による税金対策
賃貸不動産から得た家賃収入は不動産所得となり、管理費、修繕費、固定資産税、保険料、借入金利子、建物の減価償却費など、収入を得るために必要な費用を差し引いて計算します。
不動産所得の赤字は必ず給与と相殺できるわけではない
不動産所得に赤字が生じた場合、一定の範囲で給与所得などと損益通算できることがあります。ただし、土地を取得するための借入金利子に相当する赤字部分や、趣味・保養目的の不動産に関する損失など、損益通算できない金額もあります。
税務上の赤字が出ても、ローン返済、空室、修繕、管理費、固定資産税などの支払いは続きます。税金対策だけを目的に収益性の低いマンションを購入すると、税負担の減少額を上回る損失が発生するおそれがあります。
自宅マンションの購入は経費にならない
本人や家族が生活するために購入した自宅マンションは、原則として事業経費にはなりません。ただし、住宅ローンを利用して一定の要件を満たす住宅を取得した場合は、住宅借入金等特別控除を受けられる可能性があります。
住宅ローン控除には、入居時期、所得、床面積、借入期間、住宅性能などの条件があります。購入前に適用条件を確認してください。
会社設立は税金対策になる?
個人事業の利益が増えてくると、法人化によって所得の受け取り方や経費の範囲を見直せる可能性があります。法人と個人は別の納税主体となるため、役員報酬、法人税、所得税、社会保険料などを総合的に比較することが必要です。
会社を作れば必ず税金が安くなるわけではない
法人を設立すると、登記費用、税務申告費用、会計事務、社会保険料などの負担が生じます。赤字でも一定の地方税負担が発生する場合があり、会社のお金を個人が自由に使うこともできません。
売上だけで法人化を判断するのではなく、利益の安定性、役員報酬、従業員数、社会保険、将来の事業計画などを含めて比較しましょう。
役員報酬は自由に増減できない
法人が役員報酬を損金にするためには、原則として定期同額給与、事前確定届出給与などの要件を満たす必要があります。利益が出た月だけ役員報酬を増やしたり、決算前に自由に賞与を支給したりしても、法人の損金として認められない可能性があります。
役員報酬を低くすると法人の利益は増え、高くすると個人の所得税や社会保険料が増えることがあります。法人と個人の税金だけでなく、社会保険や生活費も含めて金額を決める必要があります。
相続や暗号資産では、制度改正や所得区分を誤ると申告額が大きく変わります。領収書に関する誤解と、避けるべきグレーな方法も次のページで確認しましょう。